FORGOTTEN NIGHTMARE

2026/4/19
"Old Scar and Stained Pain"
MOBILE MODE
(スマホ等をお使いの方向け)
数日前現実世界で、私の持っていたスマホのバッテリーが爆発しかけた。
買って放置していたものが膨らんでいたのだ。どうにか適切に処分する事に成功した。
・・・バッテリー爆発、というとあの夢を未だ思い出す。
20年以上も前の、若い私とまだ未熟なルルとの話だ。
今回はそれを回想録として書こうと思う。
まだガラケー時代の昔、ルルがわりと長い間敵に捕まった時があった。
その時ルルはガラケー1つだけを私に連絡させる為、私をおびき寄せる為に敵に与えられていた。
どこかに捕まったルルとガラケー越しに通話しながらその場所を探す夢が2週間は続いたと思う。
潰し天井や毒ガス、室温200度から-50度、電流や水没など
様々な人間は死ぬトラップが発動するドアのない10m四方の箱部屋の中に全裸で捕まっていたそうだ。
ルルは不死身、というか死んでも復活するので2週間の間、何度もそれで殺されたらしい。
その際中、私は悪夢の中あらゆる場所を探し回った。港町、倉庫、軍用基地・・・
彼女は毎回、余裕とジョークを含めて連絡してきた。それで私の憎悪はギリギリ限界を超えなかった。
しかし、ルルが失踪してから二週間目の事だった。
ルルは「場所がわかった」と私に連絡しとある場所に迎えに来るように言った。
とある悪夢と現世のボーダーライン、山間部にある表向きは製薬研究所の施設。
独房からは出られるが敵が多すぎるので、正門から突っ込んで減らしてほしいと。
その時ルル側の視点から、彼女の動向が一部見えた。
ルルは独房内で破壊したガラケーの画面と基盤を研いでナイフにした。
そしてまだバッテリーが爆発することは周知されてない時代だったはずだが、
バッテリーに小便をかけて穴を開ける事で発火させ、ナパームにして壁の緩衝材を燃やし、
火災報知器が作動して駆けつけた守衛を煙に紛れて皆殺しにし、全裸で脱出した。
私はそれを知り、奪った軍用トラックでその敵のアジト、
研究所のロビーに突っ込んで銃を撃ちまくっていた。
今までの憎悪を完全に爆発させた。誰一人生かす気は最初からなかった。
四方八方から撃って来る、軽装防弾ベストの警備員を弾がある限り撃ち続けた。
撃ち終わってまだ息のある奴を見つけては「ルルはどこだ!!」と叫び、返事も聞かず手足に銃弾をぶち込んで拷問し、
吐かなければ最悪に長引く死に方、肺を撃って自らの血で溺死させる方法で殺してを繰り返した。
暫く地下を進むとどうやら「極限状況下で人間はどう動くか」を実験する、胸糞の悪いサドの施設である事が解った。
非武装の科学者も、同じく見つけては独房の場所を吐かせる為拷問し、撃ったり刺したり燃やしたりして苦しめて殺して進んだ。
生きたまま顔の皮を剥がしたり、研究所に転がっていた強酸や劇薬の瓶で溶かし殺したりもした。
あの時の若い私は、とにかく憎悪に燃えていた。
20人はそうして殺しただろう。数えてもいない。
欲しかったのは有力な情報だけだった。
やっと奥の部屋まで辿り着くと、床に10mの大穴があった。
床が引き上げられ、その下にルルのいたはずの独房、テストルームがあった。
それはそれは、あまりにひどい有り様だった。
蛍光灯に人間の腸に結ばれた樹脂製フレームのピストルがひっかかっていた。
ルルがいたはずの部屋には、潰されて死んだ大量の科学者だった肉と白衣が混ざっていた。
血に濡れたボタン、もぎ取られた右手が貼り付いた指紋センサー。
彼女は部屋の「処分装置」を起動して逆に科学者と警備全員を処刑したらしかった。
ルルは全く見当たらない、周囲には書くのも難しい状態の死体だらけ。
そして少し進むと何か気配がして、廊下の向こうに銃を向けた。
一斉に撃たれたのですぐに曲がり角へカバーした。だが様子が違った。
ルルがいた。
彼女は同じく囚われていた被験者を全員救助し、
一部は既に処刑された犠牲者を「同じバケモノ」にして練り歩いていた。
彼女の血を与えられた死者は"当人が望めば"蘇る。
数人を引き連れ歩いていた。多くは少女だった。
その先頭で、ルルは敵から奪ったであろう血染めの白衣だけを裸の上に羽織りながら。
彼女は連れている者たちに、ただ一言だけ言った。
「紹介します。私のフィアンセ、銃を持つ黒馬のナイト様ですにゃ」
・・・その後は施設の自爆装置を起動させ、
全員を乗って来た軍用トラックに乗せてそこを脱出した。
あの計画を主導した「博士」は、ルルが策に嵌め、語るも恐ろしい手段で惨殺したそうだ。
ネクロランドへ戻る車内で彼女は脱出の全てを語った。
何度も殺されたある時、死にながらもかろうじて意識があった。
検死室の中で警備員や科学者の話を死体袋から聞いていた。
施設の表向きの名前、場所、それらを偶然にも検死室への搬入の会話から聞き出した。
彼女が「一時的に死んでいるが意識を保ちゾンビのように行動できる」能力はこの時に得た。
カメラの場所を全て把握したルルは、ガラケー爆弾とナイフを作った後、
そのバッテリー爆弾で壁の一部を燃やし、特定のカメラだけを破壊して死角を作った。
煙と炎を充満させ、壊したカメラの死角で発狂し、自慰をする素振りをした。
博士がサドの変態である事を見抜いていた彼女は、それで博士を釣ったのだ。
博士は故障したカメラを外し、覗き込もうとした。
その穴に、ルルは自慢の長い爪が生えた左人差し指を突っ込み、目玉を潰し、眼窩の中で指をL字に曲げた。
博士をそうして壁に拘束したのだ。慌てた科学者や警備員達は、圧し潰しにも使う部屋の吊り天井、唯一の出入り口を開けた。
そしてルルを拳銃で撃とうとした。そこで削っていた基盤のナイフを投げたのだ。前傾して銃を構えていた敵は、
前のめりにルルのいる穴に落ちた。銃の一斉乱射も濃い煙で阻まれ狙いがつけられない。
博士の眼窩から指を抜き、落ちた警備員の拳銃を奪い、煙が晴れた瞬間に上の奴ら3人をルルは銃で全員撃ち殺した。
まだ息のある警備員の腹を液晶画面を研いだガラスのナイフで切り裂き、
腸を全て抉り出し、その腸の一方に拳銃を結んで鉤縄にした。
あとは天井の照明にそれをひっかけ、見事出口のない独房から脱出したそうだ。
その後施設の全てを、もう一方の目も潰した博士に案内させたらしい。
博士の処刑は、他の囚われていた者たちに「好きにさせた」そうだ。
私が突っ込んで脱出するまでの間、フルコースを堪能させたとの事だった。
彼の死体はどこにも見当たらなかった。原型すらも無くなる程の復讐を受けたのだろう。
・・・ああ、とても懐かしい夢の話だ。
余談になるが、ルルが「人間の科学者」を異様に嫌う理由はこれだ。
彼女の前で迂闊に白衣を着ていれば、挨拶代わりに首は絞められるだろう。
この件からというもの、ネクロランドに調査目的で侵入し、
ルルに遭遇した人間の科学者で、生きていた者は片手で数える程もいない。
END
※ この小説は、
作者の明晰夢を元に再現した
フィクションです。




