FORGOTTEN NIGHTMARE




FORGOTTEN NIGHTMARE 2024/12/08
"JUMPY' ARCADE"



MOBILE MODE

(スマホ等をお使いの方向け)






ブルーベリークリームの霧の中を藻掻くような意識の中。
それが徐々に晴れ、五感の感覚が戻って来る。
焼けたチャコールの臭い。鉛が混ざるガソリンの臭い。
アンモニア臭が混ざる濡れたレンガに囲まれ、街の色は薄い。
そのモノクロをぶち壊すが如く、極彩色のネオンが残光を宿し輝く。
"ノワール"。そう形容する他なかった。爛れた暗黒街で意識が戻ってきた。

カラカラと音を立て、色褪せたスープの缶が転がっていく。
それを二本足で歩く猫ほどの大きさのネズミが追いかけていく。
ネズミ達は雑な端切れを服の如くに纏い、苛立つように手招いている。
腰のベルトに親指を引っ掛けながら、その脇を通り過ぎる。

「ヂィッ!! ガトゥ!! ガトゥ!!」

ネズミ達が歩くドレスの影を見て、驚愕するように悲鳴のような鳴き声を上げた。
賢いようだ。猫のような耳と尾を振るその者は顔を下げ、目線を外して二度手を振った。
"気にするな"と言うように。ネズミ達は顔を見合わせ、ただ立ち止まる。

路地を抜け、街頭の光でドレスの影に色が浮かび上がる。
赤と黒のコルセット、赤黒縞のボーダーソックスに装甲靴。
長いウエーブの髪を垂らしてタバコに火をつける。
煙を吐きながら見上げた双眸は、瞳孔は尖り悪魔のように赤い。

フェリエッタ・バリストフィリア。ネクロランドの夢を語る者。
しかしここは、ネクロランドでは無いようだ。

通りに出て辺りを見回す。「REEL CARTOON THEATER SINCE 1930」の看板。
それをぐるりと照らすはずの白熱球は1割を残して寿命が尽きている。
ボンネットが長い、流線形の車が派手に黒煙を噴き上げまばらに行き交う。
細身のタイヤを背負い、または両脇に抱えるようなスタイルは現世の禁酒法時代の自動車か。
壁のポスターには指名手配犯の手配書。一枚目は傷のある牛頭の獣人。
二枚目は軍服を着たキツネの頭。獣人がいる世界か。
「BIOMATON DESERTERS(バイオマトン脱走兵)」との文字とドル表記。
第一次大戦が終わり、第二次大戦前の時間軸だとフェルは仮定した。
雰囲気からして、米国だろう。この世界なら自身のスタイルもそう目立たない。
没落貴族か、客引きの遊女にでも見えるはずだ。最悪スーツを手に入れ髪を結べばいい。

タバコを指で挟み息を吐き、左の通りへと歩を進める。
コルセットの内側を手で探る。長い銃身を備えた金属の感触。
愛銃M1911は着いてきてくれたらしい。腰のベルトに手をやる。
生憎愛しのカリエンテ12はお留守だ。強力無比な散弾銃なのだが。
代わりに4本のM1911用弾倉はしっかりお供に来てくれた。
これで35発。髪を掻き上げる素振り。
後ろ襟。コルト.25オートの形を指が感じ取る。
更に7発増えた。42発だ。当面は十分だ。何が起ころうとも。

正面からハンチングを目深に被った、サスペンダーの男が歩いて来た。
片手には紙袋に入った酒瓶。それを呷りながらちらりと目が合う。
・・・レオパルド。薄いぶちのある体毛と尖った鼻が見えた。
目が合った途端、男は一瞬驚いたように、そして諦めたように口を開いた。

「気ィ付けなぁパッシー。ガバナー共に見られる前にカワイイお耳を隠すんだな・・・」

「どうも。」

フェルの低い声に、レオパルドの男は振り返り、また驚いたようだった。
ナイトメアとしての猫のような耳と尾、それで同類と見られたようだ。
そしてガバナーと聞いたが、恐らくそれを良しとしない者達だろう。
路地に溜まる両切りの吸い殻の山。フィルター付きのオーパーツを山に一つ加える。

さて、どうしたものか。獣人がいる禁酒法時代で、ガバナーという存在が恐れられている。
それ以外は何も見当が付かない。流れ者のフリで隠れ酒場でも探ってみようか。
そう考えていた時、レンガ作りのビルの向こうから乾いた銃声が響いて来た。
続く悲鳴、車のタイヤが空転する音。何か襲撃が起きたようだ。

「早く逃げろ!! ガバナーの奴らだ!!」

「女子供を先に乗せるんだ!! 男は箱乗りでいい!!」

白煙をタイヤから噴き上げながら、フォードのV8クラシックカーに
よく似た車が猛スピードで汚れた車道に突入してきた。
粗悪な回転式拳銃の銃声がまばらに鳴り響く。

ハンドルを握るのは牛のような男の獣人、その隣には子を抱きしめる兎の女性獣人。
後部座席には覆いかぶさるように何人もの若い獣人が身を縮め、その後ろには
車の外側後部にしがみつき、リボルバー拳銃を乱射している男の獣人が2人。
フェルはその光景を歩道から見送る。続いてやって来たのは白に近いベージュのクラシックカーだ。
窓から身を乗り出し、銀に輝く自動拳銃を握りしめたトレンチコートに白の中折れ帽の男達。
ドラムマガジンを上部に乗せたサブマシンガンを持った男も一人見える。
揃えたような同じサングラス。全員が瓜二つの同じ服装で、車には黒字で「GOVERNOR」と書かれている。
人間特有の匂いが強い。フェルの鼻にはハッキリと感じ取れる。
というよりも、獣に混じる慣れた匂いが無いのだ。
Governorとは地方長官、知事、そういった意味であり、支配者側の治安組織なのだろう。
道理はわからないが、奴らは逃げる獣達、女子供を追い立て撃っている。

「・・・いけ好かんな」

ふらり、フェリエッタは車道へ歩み出た。突進する白い車の前に立ち塞がるように。
車はスピードを落とし、屋根に取り付けられた拡声器から声が聞こえる。

「どけ!! どかなければ轢き殺すぞ!!」

「おい奴を見ろ!! 耳だ!! テイリーだ!!」

「やれ!! 撃て!!」

窓から乗り出した白コート達が、銃を向けた。
瞬間、フェルが動いた。流れるようにコルセットから銃身の長いM1911A1を引き抜き、
左手を滑らせるようにスライドを引き、両手でその銃を構え。
躊躇なく、真正面の車に向けて発砲した。

ダァン!! ダンダンダンダァァン!!

飛翔する11.43mmの銅で覆われた5発の鉄芯入りの弾丸は、
フロントガラスを貫通し、ハンドルを握る男を襲う!!
男の指が弾け飛び、胸、肩、顎、そしてサングラスごと右目が貫かれた。

ビシャアッ!!

噴き出した鮮血がヒビだらけのフロントガラスを染め上げる。
助手席に乗っていた白コートが、必死にハンドルを掴む。
蛇行する車はスピンしながら、
銃を構えたままの姿勢で動かないフェルの右真横スレスレを通過し、
横転し、そして消火栓をなぎ倒しながら
凄まじい音を立ててレンガの建物の角に突っ込んだ。

ガラスが砕ける音と、岩が崩れるような轟音。
白いクラシックカーは見るも無残にL字型にひしゃげていた。
壊れた消火栓から盛大に水が噴き上がる。

後部座席にいた一人は身を乗り出したまま横転し、
地面と車両に挟まれ腰が逆方向に曲がって即死している。
ハンドルを取ろうとした助手席の者は建物の角に車ごと押しつぶされ、
鉄板やダッシュボードのベークライト材と混ざり合った肉塊と化し、
フェルに撃たれた者は、脳と目玉をだらしなく垂れて絶命していた。

その車から少し離れた路上に、運よく、又は運悪く。
横転する車の窓から落車した白コートが一人生き残っていた。
彼は痛みに藻掻きながら、数メートル手前に転がった
銀色で、流線形の銃に這い寄ろうとする。
指が届くかという瞬間に、その銃は赤黒い"悪魔"に先に拾われた。

「・・・ホイットニー・ウルヴァリンか? 珍しい銃だ、治安側が.22口径とは」

自らの血で赤くコートを染める"ガバナー"の生き残りは、目の前の悪魔、
フェリエッタを絶望と憎悪の眼でうつ伏せに見上げる。
悪魔は目の前で死にかけている人間よりも、彼が持っていた銃に興味がある。
SF映画の光線銃のようなそれを珍し気に眺め、スライドを引いて薬室の弾丸を確認している。

「ぐっ・・・ 何なんだ・・・ お前は・・・!! 戦争の残りカスの・・・ 消耗品が・・・!!」

「戦争? 戦争があったのか。何処の世も変わらんな・・・ 当ててやろう、第一次だな?」

「何を言ってんだ・・・ 貴様・・・!! 何処から来やがった・・・!!」

「よくぞ聞いてくれた。人間様よ。私はネクロランドから来た。
 どうも迷い込んでね、これは私の国なりの挨拶なんだ。悪く思わないでくれ」

「テイリーの・・・ 痴れ者が・・・!! 報いは受けさせてやるぞ・・・!!」

ガバナーの生き残りは、抵抗よりも路上に転がったサングラスを取ろうとしている。
あれには何か機能がある。フェルはそう直感的に感じ、先にサングラスを拾い上げ調べる。
角ばったレンズに太いフレーム、円形の押し込みスイッチが付いていた。
あれだけの衝撃にヒビ一つ入っていない。

「流れ者なんでね、聞いておこう。"テイリー"とは何だ? 何をした?」

「何をしただと・・・!? あれだけの大戦を引き起こしておいて・・・
 よく言えたものだ、ケダモノ共が・・・死ねェ!!」

そう言い終わるや否や、その男は素早く体を丸めるとブーツへ手を伸ばす。
予備の仕込み銃かナイフだろう。フェルは左手に持ち替えていた、
奪った銀色の銃のトリガーに指をかける。
男が手をこちらに向けた。さらに小型の銃だ。あれは.25口径か。
・・・遅すぎる。

タァァン!!

・・・軽い銃声が響き渡る。腕を伸ばしフェルに銃を向ける白コートの男と、
左肘を腰の位置で軽く曲げ、男に照準を合わせるフェリエッタ。
無論、糸が切れたように倒れたのは白コートの男の方だった。
中折れ帽の中央に小さな穴が開き、そこからチョロチョロと鮮血が流れ出る。
フェルは男の死体を蹴って仰向けに転がすと、その脇にしゃがんで所持品を探る。
「FEDERAL GOVERNOR : SAM HAWKINS」と書かれた身分証、御大層な銀の盾を模したバッジ。
強制捜査令状と見られる書類、テイリー射殺許可証。
それらの無価値なガラクタとは別に、男の革ベルトから目当てのモノが出て来た。

「マガジンは2本だけ、バックアップの弾倉は無しか」

フェルは鹵獲した現世やネクロランドでは珍しい.22口径拳銃、
ホイットニー・ウルヴァリンを自らのベルトに収め、
奪い取った弾倉2本、そして男が握りしめていた.25口径のブローニングを奪い、
それらと共にその場を後にした。

手持ちの銃の弾の補給が可能であるかどうか。
それが不明な状況では、現地の銃を確保するに限る。
敵を殺すほど、銃に収まる規格の弾が手に入る。
味方の多さはこの悪夢を無事に脱出できるかどうかを左右する。
この状況で最大の味方は、この頼りない.22LRの銃弾だ。


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その後、20分程フェリエッタはタバコを咥えて路地の影から潰れた車を眺めていた。
騒ぎを聞きつけた増援が来ると思った故だ。あの"ガバナー"の男からは大した
情報を聞き出せなかった。追加でもう2台ほど連中の車が来てくれれば、
それらに乗り合わせた8人をここから狙撃し、まだ息のある者を吐かせればいいと。

しかしどうやらこの戦場のようなスラム街では、倒れた仲間を救いに来る者すらいないようだった。
数人の鉄パイプやリボルバー拳銃で武装した獣人が、潰れた車と死体から所持品を盗んでいくのみ。

・・・観察していると、この世界でのモノの価値が見えてくる。
フェルが真っ先に奪った銀色の銃には、皆見向きもしない。
私物と思われる小さな予備の銃の方を有難がって盗っていく。
恐らく政府側の銃は登録されているか、若しくは銃がありふれているか。

そして、皆銃よりもガバナーが装備しているサングラスを真っ先に調べる。
生憎フェルが奪った1つを除いて、全て完全に壊れてしまったのだが。
誰も彼も、壊れたサングラスを拾っては悔しそうに放り捨てる。

「おい!! お前!!」

・・・背後から声をかけられた。振り返るとハイエナのような獣人の男がいた。
ジャケットのポケットに片腕を突っ込んで、今にも銃を抜く素振りだ。
首元には1枚しかないドッグタグ。元兵士か。
どう出るか、小脇に隠したM1911の安全装置を外す。
だが、揺れる耳と尻尾を見てハイエナは目を丸くし、安堵した。

「・・・なんだ、お仲間かよ。あぶねえから離れてな、後で分けてやっから。
 奴らの仲間が来るかもしれねえ・・・ 死肉漁りは俺達の仕事だぜ」

ハイエナは片足を引きずりながら、フェルの肩を叩いてウインクした。
テイリー同士はよく助け合っているようだ。匂いで雌雄の判別はつかないらしいが。
二度頷いて、フェルはその場を後にした。



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・・・あれだけの騒ぎが起こったはずのスラムは、
まるで日常とでも言うように落ち着いたまま動いている。
時折すれ違う獣人達はフェルの風貌を見て色目こそ使うが、
それ以外は至って友好的だった。

そうして歩いていると、一件の廃ビルに行きついた。
明かりは一切なく、人の気配はない。
旧式のエレベーターがある。ボタンを押すと、軋みながら扉が開く。
行く当てもない。それに乗り込み、ボタンを探る。
8階までのボタンがあるが、4階だけスイッチが外されていた。
興味本位だ。指を伸ばしその根元を押し込む。

ガタン。

エレベーターが動き出す。階層表示は・・・ニキシー管だ。
オレンジの独特な光が、不安定なエレベーターを照らす。
昇降スピードは極めて遅い。

ふと、先の"ガバナー"から奪ったサングラスを思い出す。
あの暗い路地で人間がさも大事に付けていたのだ。
暗視機能やライトがある可能性が高い。

取り出してかけ、フレームのボタンに触れる。すると、
青いワイヤーフレームのような投影映像が表示され、
暗闇でも周囲の輪郭を掴みやすくなった。
自分の手を見ると、「BIOMATON POSSIBILITY」と赤色で表示された。
獣人か人間か、敵味方の識別に利用していたようだ。

ガタガタと震え、エレベーターが4階に辿り着いた。
大袈裟に軋みながらドアが開く。

裸電球の薄明りだけが点々と通路に光る。
あらゆるドアは木板で打ち付けられているか、若しくは存在せず、
荒れ切った部屋からは寒風が吹き荒んで来る。

20m程進んだだろうか。かけていたサングラスがとある壁の前で反応した。
「HIDDEN BIOMATON HIDEOUT POSSIBILITY」と、壁の一面が赤く光る。
直訳すれば「バイオマトンの隠れ家の可能性」だ。
好奇心は猫をも殺すが、この期に至っては抗えぬ。
フェルはその壁に触れようとする。しかし腕は素通りした。
壁があるように見えるが、そこには何もない。
壁をすり抜ける。裏側には3本の真空管が付いた装置と
プロジェクターのようなものが天井にぶら下がっていた。
壁をホログラムのような何かで投影していたらしい。

荒れた本屋か、雑貨屋のような廃墟。
無人のレジカウンターがあり、空の酒瓶が転がっている。
その奥に、もう一つ同じ赤枠の表示が見えた。
吸い寄せられるように床の散乱物を跨ぎながら歩く。

チャリリッ。パリッ。

ガラス片を踏んで音が鳴った。その瞬間。

ジャキイッ!!

・・・ボルトを装填する音。首筋に当たる鉄の感触。
背後から銃を突き付けられた。"ガバナー"だろうか。
懐の銃から手を放し、両手を軽く上げる。
反撃の手段を考える。
転がるように後ろに倒れ込み腹部に頭突きか、
振り向いて銃身を掴み、その銃で殴り倒すか。

「振り向かないで、何も言わず歩いて!!」

若い女性の声がした。軽く首を縦に振り無抵抗を示す。
後頭部を銃で小突かれる。そちらに歩けというのだろう。
この暗闇の中、足場が悪いここで戦うのは得策ではない。
そして匂いから察するに、後ろにいるのは耳付きのお仲間だ。
不意に銃を奪い反撃してしまえば、殺してしまうかもしれない。
フェルは促されるままに従う事にした。耳を見れば誤解は解けるだろう。

そのままサングラスが示す隠し扉の中に入っていく。
ホログラムで覆われた、強固なレバー付きの鉄扉だ。

「それを開けなさい!!」

声の主は決して前に出ない。慣れている。
言われるがままレバーを下げると、更に防音扉。
背後で鉄扉が閉まる音がする。こちらの扉も開けようかと考えた時、
その扉は自然に開いた。その瞬間、耳を劈くような電子音の洪水に襲われた。
サングラス越しでも眩しい程の赤とオレンジの照明が視界を覆い尽くす。
無数のアーケードゲーム機。バーカウンターに腰掛ける女性の影。
眼が眩むほどのピンクのネオン看板。その店名は・・・

「ようこそぉ〜!! Jumpy' Arcadeへ!!」

ジャンピィ・アーケード。
甘ったるい少女の、元気な声が前方から響いた。
目の前にボリューミーな赤髪のバニーガールがいる。
顔は獣人の兎そのもので、ちょうどこちらを見下ろすような位置にいる。
彼女は生足を交差させ、片手を腰に、ウインクしてポーズを取る。
白い体と黒のレオタードのコントラストに目を奪われる。

・・・一体何だというのだろうか、この悪夢は。


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「カラミア!! こいつはお客じゃないわ!! ガバナーの手先よ!!」

「えー? この子お耳ついてるしお仲間でしょ? お客様に乱暴だってー!!」

「シェードグラスを掛けるのは人間だけよ!! 私たちには必要ないもの!!」

「ラウラったらまぁーた怒ってる・・・ まずは聞いてみましょうよ?」

「どうせこいつ、ガバナーに寝返ったテイリーか何かよ!!」

・・・跪き、両手を軽く上げたフェリエッタの目の前で、
ウサギの少女二羽が言い争いをしている。

赤髪のバニーガールがカラミア、そして先ほど銃を向けた方がラウラだ。
二人とも顔はウサギに近く、特徴的なY字の鼻と口元。
前歯は大きく、口を閉じてもはみ出して見える。

ラウラのスタイルは奇異で、オレンジに近い髪をポニーテールに結び、
更にウサギの耳をシュシュで束ね、灰色のウサギの着ぐるみパジャマを着ていた。
その手には未だにサブマシンガンが握られていて、銃口は一時もこちらを外さない。
半開きで目つきの悪い瞳。寝不足の隈、頬にはそばかす。
うさぎの着ぐるみのポケットには大量の工具が入っている。

銃は現世のMP38によく似ているが、真空管のようなパーツが付いている。
こちらにその銃を向けているが、カラミアとの口論に夢中だ。
議論が終わりそうにないので、フェルは口を開くことにした。

「・・・私は動かない。サングラスを取ってくれ。銃は向けたままでいい」

声を出した瞬間、目の前のウサギ二羽は眼を丸くして驚き、小さく声を上げる。
思わずラウラはサブマシンガンの構えを解いて下へ銃口を向けた。
指をトリガーから放した。彼女はあの白コート達よりもだいぶ銃に慣れている。

「え・・・ あんたオスだったの!?」

「あらー!! ますますカワイイ子じゃん!! 歓迎しよ? ね?」

どうやら本当にこの世界では雌雄の判別がついていないようだ。
フェルの恰好がそう見られるのか、所謂異性装が一般的ではないのか。
ラウラは右片手、腰の位置で真空管付きのサブマシンガンをフェルに向け、
慎重にサングラスに手を伸ばす。しかし既に指はトリガーに掛かっていなかった。
サングラスを取り外すと、バニースーツのカラミアが顔を覗き込む。
底抜けの空笑顔といった表情を見せる。笑っているがどこか感情を感じない。

「うっわー!! カワイイわよ!! お姉ちゃん早くその銃しまって!!」

「っあんたね!! お姉ちゃんって素性もわからない相手の前で!!」

どうやらこの二人は姉妹のようだ。申し訳ないが分かってしまった。
聞き流したフリをして、更にラウラの警戒を解くとする。

「・・・外スカートの前側、ベルトだ。奴らから奪った銃が2挺ある」

「え・・・ 奪ったって言った?」

「ほらぁー!! お姉ちゃん、この子味方よー!! んもー!!」

「でも武装は取り上げないとならないわ!!」

「私にやらせて!! 私に!! 早く!!」

カラミアが興奮している。触りたいのだろう。
取り上げる際に暴発されては困る。
フェリエッタはラウラが視線を外した瞬間、素早く2挺の銃を抜いた。

「・・・っ!?」

ラウラが振り向くより先に、両手の銃のマガジンを抜き落とした。
更に軽く銃を放り投げ、スライドを掴み操作し、薬室内の弾丸を弾き出す。
くるりと同時に銃を回転させ、銃身を掴んでグリップ側を姉妹へ差し出す。

「Take it.(貰ってくれ)」

銃を向ける間もなかったラウラは、少し悔しそうに銀の銃を掴む。
カラミアは大きな眼を更に開いて、拍手をする。

「すっごぉい!! 早撃ちなのねぇ!! これ私に?」

「ああ、心強い味方がいるとなればもう不要だ」

カラミアは.25口径のベビーブローニングを受け取ると、
如何にも映画のポスターでも真似るようにそれを色っぽく構える。
カチッ。トリガーに指がかかり空撃ちした。やはり取らせなくて正解だった。

「ありがとー!! 猫ちゃん、お名前は?」

「フェリエッタ・バリストフィリアだ。フェルでいい」

「よろしくねぇフェルちゃん、
 私はカラミア、そしてお姉ちゃんのラウラよ!!
 ラウラ、この子がフェリエッタよ!!」

「聞いてるってば・・・」

ラウラは銀の銃のマガジンを拾い上げ、再装填しながら言った。
サブマシンガンはカウンターに置かれている。
十分に打ち解けたようだ。ラウラもこちらを見ていない。

「・・・そろそろ敵でない事が証明できたかな?」

「ええ、奴らから奪ったとなれば私たちの味方よ。
 100%ね。でもどうやったの? ガバナーは手強いわ。
 正面からやって勝てる連中じゃないのよ?」

フェルはゆっくりと立ち上がり、腰に手を当てて背を伸ばす。
カラミアがバニースーツの尻尾を揺らしながら、銀のトレーに瓶とグラスを持ってきた。
若干ぎこちなく注がれたそれは、年代物のバーボン。願っても無い。
フェルはそれを受け取ると、"乾杯"の仕草をして一気に飲み干した。

「正面からやったさ。明らかに非戦闘の住人を襲っている車が見えた。
 そいつらが人間だったから、加勢した。私が持ち込んだ銃をドライバーに5発。
 奴は死に、車は壁に突っ込んだ。転げ落ちた奴にトドメを刺し、
 その銃とサングラスを持ってきた訳だ」

腕を組むラウラは、若干信じられないというような反応。しかし、
己の手に握られた銃を見て、信じるほか無いという面持ちだった。

「・・・嘘じゃないわ。これはガバナーの銃。登録番号も本物よ。
 恐らくそっちのアンクルガンはそのガバナーの私物ね。
 名前は・・・」

「サム・ホーキンス、か?」

「ビンゴよ。マジでやったのね・・・ 一ついい?」

「何でも。」

「このシェードグラス、まあサングラスね。
 これはガバナーがガバナーである事の象徴よ。
 私たちテイリーの遺伝子の痕跡や足跡を見る機能がある。
 そして人間には視認できず、私たちテイリーにしか
 見抜けないホログラムを見る機能があるの。
 あなたはそれを付けて来た。理由を教えて」

「なんとなくだ」

「・・・なんとなく!?」

「私が連中を打ち倒した時、奴は銃よりもこれを拾おうとした。
 これにそれなりの価値、そうだな・・・
 暗視機能か何かがあるのかと思ってね。遊んでいる最中に君に見つかった訳だ」

「シェードグラスを知らない・・・ ねえあなた、何処から来たの?」

「悪夢の中からだ。ネクロランド。聞いたことはないだろう。
 とにかく、ここよりも平和な場所から来た。気づいたらここにいた。
 この世界の事は今知ろうとしている。・・・Do you mind?(吸ってもいいか?)」

フェルがネクロランド製のタバコ、レッドバックの箱を取り出す。
ラウラは"どうぞ"と言わんばかりに、目を瞑り手で促す。
タバコを咥えると同時、カラミアはすかさず右横に体を押し付けながら、
ボリュームのある胸の谷間からガスライターを取り出し、タバコに火をつける。
バニーガールに目が無いフェルにとって、これは無上のサービスだった。
思わず笑みをカラミアに向ける。カラミアも微笑み返す。

「Thanks.」

「うふふぅ!! やっと笑ったわね、猫ちゃん!!」

ラウラもそれを見て、最後の警戒を解いたようだった。

「・・・仕方ない、全て信じるわ。他の世界から来なきゃ、
 ガバナー達を仕留めよう、ましてシェードグラスを奪おうなんて
 考える訳がないもの。奴らは恐れられているから。権力と束縛で」

「奴らの戦闘力は然程高くないと見えたが・・・」

「防弾仕様の車よ? 普通フロントガラスは貫通しないわ。
 あなたの持ってきた銃、見せてくれる?」

「どうぞ。」

フェルはコルセットから、7インチスライドのM1911A1カスタムを廻しながら取り出した。
ルルによる優美な彫刻が一面に彫られたそれを、ラウラは受け取って眺める。

「へぇー!! 綺麗な銃ねぇ!!」

「これ、ただの銃じゃないわ・・・」

ラウラはスライドを引き、飛び出したカートリッジを空中で掴む。
銃弾を眺め、底の刻印を見る。銃の扱いを見るに、相当に慣れている。
フェルは銃の解説を始める。

「M1911A1、.45口径ACP弾を使う自動拳銃だ。こちらの世界・・・
 いや、"現世"と呼んでいるもう一つの世界で1911年に設計された。
 これは相当に手を入れてあるがね。特に銃身は2インチ伸ばしてある」

「.45口径? BM-32の弾よりデカいわ・・・」

「この世界にジョン・ブローニングはいなかったか。
 ところで、BM-32とはどんな銃だ? こちらには無い」

「こいつよ。見せてあげるわ」

ラウラはフェルにM1911を返しながら、カウンター上に置いていたサブマシンガンを掴み、フェルに渡す。
構造的にはやはり現世の第二次大戦中のサブマシンガン、特にMP38に似ている。
しかし各所の作りが現世よりもずんぐりと丸く、決定的に違うのはボルトストロークだ。
そして左横に突き出した、2つの真空管。こんなものがある銃はない。
オープンボルトの銃だろう。マガジンを外して弾丸を見る。
そこにあったのは、明らかに短すぎる.45口径弾によく似た弾丸だった。

「・・・薬莢長が短いな」

「11mmx16mm、Bull-Bul(ブルバル)っていう弾よ。これより大きい弾はないわ。
 先の大戦で使われて、それっきり廃れたわ。威力はあるけど使いづらいって」

「何故ここではあんな奴らがのさばるのか解ってきたな。
 シンプルに弾薬の威力不足だ。この火薬量では貫通力が出ない。
 私の世界の銃なら、あんなガラスは防弾ではなくなる。
 ・・・所で、この真空管は?」

ラウラは真四角の箱から両切りタバコを取り出し、
奇妙なツボ型のライターで着火した。
息を吐き、カウンターに腰掛ける。

「・・・薄々感づいてると思うけど、こっちでは金属の強度が出せなかったのよ。
 あなたの銃を見て納得したわ。ただの素材じゃない。とても強い金属よ。
 こっちは弱い金属で、薬室の爆発に耐えられる威力に上限がある。
 だから.22口径が主流で、それ以上の銃弾は薬莢が短いの。
 そして思いついた。それなら銃身で弾を加速させればいい、と」

「・・・つまり、これは火薬式とレールガンのハイブリッドか?」

「ええ。そっちじゃレールガンって言うのね。いい表現よ。
 こっちだと"ボルタモッド"ね。強いけどバッテリーが切れたらそれまでよ。
 だから廃れたの。貴重なバンドルド・チューブも使うし」

「この真空管か? これにそんな性能が?」

「単管じゃないわ。そっちにはない? 多重複合型真空管。
 1899年に発明されたのよ。これはX-50管。50本分の性能があるわ。
 二つで100管分ね。最大124管まであるんだけど、高すぎるからこうしてるわ。
 ・・・どうやら私達の世界の方が勝ってる技術があったみたいね、ふふふっ!!」

特殊な真空管の話を始めた途端、ラウラの表情がニヤリと明るくなった。
それを見てカラミアは、何かを察したような苦い顔をする。

「あーお姉ちゃん・・・ また始めるの? マニア話を・・・」

「いいでしょう、折角異世界からのお客人よ!!
 私たちの技術と、その発展と、今までの話全部してあげようじゃない!!」

「時間ならある。教えてくれ」

胸を張り、着ぐるみのポケットから得意気に真空管を取り出すラウラ。
カラミアは銀のトレイ上の酒を注ぎ、それを一気に飲み干した。
何か、うんざりしたように・・・



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ジャンピィ・アーケードのネオンが煌めくカウンター席。
フェリエッタはその中央の椅子に腰掛けていた。
バーテンダーの位置にラウラが座り、カラミアはフェルの左脇に。
ブラウン管式のテレビには、何やら灰色のウサギが主人公の
カートゥーンが流れている。ラウラが着ている着ぐるみと同色だ。
タバコに火を灯しながら、ラウラは話を始めた。

「まず、この国が何処か説明するわ。アンテマ合衆国。今は1941年。
 ラグ州のアークフィービルがここ。東部の旧首都よ」

「旧首都? 今は違うのか?」

「こんな寂れた首都があってたまる? 1935年の戦争終結で、国はここを放棄したわ。
 続いて来た1939年の大恐慌でトドメ。もはや栄えたのは昔話よ。
 まあとにかく、ここは国に見捨てられた場所だってこと」

「戦争と言ったが・・・ それは第一次? それとも第二次か?」

「二次ですって? ふふ、そっちは2回もあんな馬鹿な事してたの?」

「ああ、現世は3度目の大戦の影が差し掛かっている程だ」

「学ばないわね人間様は・・・ そこはマシかもね、こっちはまだ一回目よ。
 バイオマトン世界戦争。私達のようなテイリーが徴用され、世界全ての国が参戦したの。
 それで世界は互いに大金をつぎ込み、全て破綻したの。大恐慌よ」

「白コート連中も言っていたな、テイリーがどうだとか、戦争の残りだとか」

「テイリーは私たち、そしてあなたみたいな者の事よ。
 尻尾のTailから来てる。奴らは侮辱を込めて、
 そして私たちは親愛を込めて互いをそう呼ぶわ。
 尾無し連中が私たちを毛嫌いする理由も、戦争よ」

「徴用したと言ったが、人間の代わりにテイリー同士が戦った、という事か?」

「その通りよ。元々私たちはバイオマトンと呼ばれる平和な存在だった。
 元は愛玩用に、まあペットよね。喋って話して、家事もできる便利なペットとして。
 その目的で作られたの。そっちにはいる? 私たちのような"人"が」

「現世の技術はそこまで発展していないな」

「解析が不十分なのかしら? やっぱコレの有無ね」

ラウラはフェルが飲むバーボンのショットグラスの横に、
銃に付いていたのと似た真空管を置いた。
今までキラキラと目を輝かせていたカラミアが額に手を当てる。

「あちゃあ、お姉ちゃんのバンドルド・チューブが出たわ・・・」

「いいじゃないって!! 話がわかる相手なんて滅多にいないのよ!?」

ラウラはタバコを消すと、自分のグラスにまたバーボンを注いで一気飲みする。
一拍調子を整えるようにカァン、と音を立てグラスをテーブルに叩きつける。

「・・・さっきも言った通り、このチューブは1899年に発明されたの。
 最初は単管の5倍、次に10倍。30倍と性能を伸ばしていった。
 そしてコンピューティング・デスクが発明された。1902年にね」

「だいぶ早いな。こちらの世界では、1941年にまともなコンピューターは無かった」

「・・・"無かった"って言った? そっちの現世とやら、今何年なの?」

「2024年だ。現世はな。私が行き来する世界の一つだ。
 私の住処のネクロランドは時間が止まり、1800年代初頭の風景だがね。
 技術や住人はその現世からも受け入れている」

2024年。その数字に姉妹は驚きを隠せないようだ。
カラミアが店内の一台のゲーム機を指差す。

「じゃあさ、"1955タンクマトン"みたいなロボット、もういるの?」

指差した先にあったのは、奇妙なアーケードゲーム筐体だった。
フェルは椅子を降り、それを見に行く。姉妹もそれに続く。
アナログとデジタルが合体したような作り。左右2本のレバーの中央に、
ケーブルで繋がれた銃型のコントローラーがある。
画面であろう場所の上半分には、3つの電球式の赤色電光掲示板。
そして下部には、戦車のような二足歩行ロボットのブリキ模型が
蛇行したレール上に取り付けられている。

「このロボットか?」

「そう、タンクマトン!! カートゥーンがあるのよ!!
 "時は未来、1955年。世界の為タンクマトン隊は今日も戦う"ってね!!
 あるんでしょ? 2024年にはこういうカッコイイの!!」

カラミアを両手を握りしめ、遥か未来のロボットを期待している。
ファンなのだろう。しかしフェルは正直だった。

「あるにはあるが、どれも試作品の域を過ぎない。
 まだまだ実験段階で、戦場では使われた事がない。
 歩くという技術も不安定で、基本ロボットは車輪を使っている」

「ゲホッ!? ないの!!!!?」

目の前で落胆するバニーガールの声がかき消される程の声。
後ろから咽せた大声を上げたのは、飲んでいたバーボンを吹き出したラウラだ。
半開きの眼を限界まで開け、フェルにドタドタと駆け寄って来た。

「じゃあ、"エイリアン'62"は!?
 1962年の未来に月面駐屯地が土星人に襲われる名作よ!!
 ほらこっち!! 来て!!」

ラウラに強引に手を引かれ、2列奥のゲーム筐体の前へ連れられる。
ベークライト製と思われる赤茶のテーブルのような筐体。
平面のテーブルの中央に、ブラウン管と思しきモニタが埋め込まれている。
その左側に棒状のレバーが一つ、画面を挟んだ右側には拳銃のグリップのような
レバーが備えられている。中央のブラウン管には荒いカラー映像で緑色のロケットが飛び、
月面に帽子にツナギ姿の人々が降り立つと、ゾンビのようなエイリアンに襲われる映像が流れている。
続いてドーナツ状の宇宙ステーションからまたロケットが飛び立ち、
騎士のような鎧を着て銃を持った兵士達がエイリアンを蹴散らす映像が流れた。
SFシューティングゲームなのだろう。

「月面には1969年に着陸できたが、基地まではできていないな・・・
 異星人にも出会えていない、宇宙で戦闘は発生していない」

「な・・・ 一体何やってたの、その現世とかいう世界は!!!
 100年も未来なのよ!? 全然進歩無いじゃないの!!!
 銃がでかくて強力なだけ? 何に時間を使ったのよ!!
 やっぱり2回も馬鹿な戦争したせい!?」

「どうなんだろうな・・・」

「そっちに何か他に進化してる所、ないの!?」

「電子技術か。回路やコンピューターは小型化され、
 通信技術も発展しているな。
 こっちにはネット、オンライン技術はあるのか?」

「ネット・・・ オンライン?」

「電話は存在するだろう?」

「勿論あるわ」

「それが発展した。こういったコンピューターで、
 文章や映像、ゲームを瞬時にやり取りできる。
 複数人が同時にゲームを楽しむのはありふれた娯楽だ。
 今やスマートフォンという、そうだな・・・
 このタバコの箱より少し大きいだろうか?
 そのサイズの機械でそれが可能になっている。
 何処にも配線をつながなくていい。無線式だ。
 人々は文章で交流する。国境なく、ね。
 それにより、下らない喧嘩は日々絶えないが・・・」

「ゲームを・・・? どうやって? 回路図を送るの?」

「あまり詳しくないが、機械の基本機能が規格化されたんだ。
 プログラムというデータの形で全てが発展した。
 ここにあるゲーム機の中のゲームを全て、
 その手のひらの端末に収める事も可能だろうな」

「データ・・・ 中身が進化した・・・ のね・・・」

ラウラは眉間にしわを寄せ、凄まじい衝撃を隠せずにいる。
カラミアは眼を輝かせてフェルに寄る。

「すごいわぁ!! 私もそれ、見てみたい!!
 ゲーム、アーケードって最高だからね!!
 そっちはまだゲームが楽しまれてるの?」

「最早、日常だな。現世では最も進歩が速いと言っていい。
 誰しもが当然のように遊び、生計を立てる者すらいる」

「いい世界じゃない!! お姉ちゃん、本当なら私たちの夢、叶うかもよ?」

「夢・・・」

そう呟いた途端、ラウラの顔が曇った。
何か、叶わぬ夢に思いを馳せたように。
それが二度と叶わぬとでも言うように。

「恐ろしい言葉よね、夢って」

その時、カウンター上のニキシー管ランプが真っ赤に光った。
低いブザー音が響き渡り、ラウラが"仕事"の顔をする。
カートゥーンが流れていたモニタは自動的に監視カメラの映像に切り替わる。
そこに移っていたのは・・・ 目深にハンチングを被ったレオパルドの男だった。


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※この小説は現在未完結で、執筆途中です。
 更新がありましたらトップにて告知致します。










※ この小説は、
作者の明晰夢を元に再現した
フィクションです。









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